生命と祈りの布、大井川葛布

夏の盛り 一日に30cmも伸びるという葛の旺盛な生命力 
この蔓から、人の手によりシルバーに輝く繊維が取り出される。
 途中、室に入れて発酵させるが 良い発酵が出来るかは、経験と勘となによりも天候。
繊維の洗いも 熟練と根気と水質
その後、およそ6尺ぐらいの繊維を 人の手によって細く裂き、太さをそろえ、これをまた、結んで長い糸にする。 織り機にかけるため ツグリ と云う、糸束にする。 
 およそ長い時間 葛の命が人の祈りとともに績まれる。

葛の収穫から数えて、早くても一年、
やっと織り上がった葛布は、和紙を裏打ちし、色目をそろえて皆さんの元に届けられる。
(これからが葛の生命と 作り手の祈りの本番である。)太陽を浴びて 旺盛な葛の命は 作り手の祈りとともに 経年の変化を経て熟成される。

貼った当時はまだ白っぽい光沢で馴染みにくかった物がどうだろう10年も経ると 落ち着いた光沢になってくる。20年も経った葛布の前に座ると 神々しうさえある。
その家族を護ってきた自信に満ちているようだ。

湿度の調整機能がある、空気をきれいにする、カビの発生を押さえるなど葛布の機能が言われるが、もとより葛布は、その原料、葛が漢方薬となるように 人間の身体と生活を守る為に生まれてきた。そこに作り手、織り手の 祈りが加わり、より昇華される。
 生命と祈りの布 それが大井川葛布である。

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